平成15年度 PTA指導者地区研修会

■賀茂地区
7月4日(金)
於 下田市民文化会館
参加者 195名

研修テーマ「今、学校・家庭・地域に求められているもの」
1. 開会のことば
       木田和芳
2. 下田南高校PTA会長あいさつ
               錦織和子
3. 下田南高校長あいさつ
          高田 稔
4. 来賓あいさつ
     県高P連事務局次長 中村重昭
5. PTA指導者研修会報告
     下田高校PTA副会長 斉藤八州照
6. 基調講演
演題「愛されてこそ」

講師:元静岡県立伊東高校教諭 小林洋子先生 

(一)人は愛されて初めて人間となる
 愛情の発達に欠かせない甘え〜 人は周囲の人間の慈愛に包まれて初めて人間好きになり、人間好きになって初めて心理学的にも人間となり、人間としての人生を送ることができる。一歳半頃子供は甘えん坊になる。この「甘え」は愛情表現の最も幼い方法だが、とにかく愛情が芽生えた証拠である。この時期はこの「甘え」を受け止め次に進むことが大切である。次に来るのが「愛する人を喜ばせようとすることは自分の喜び。愛する人を悲しませることは自分の悲しみ」という愛情の芽生えの階段を子供は登る。これこそが人間としての「愛」であり思いやりの心の基である。
 少年犯罪の増加に対し「厳しく人間としての良心を教え込むべきだ」という意見も聞かれるが「良心」とは教え込むべきものではなく愛されて育つものであり愛情をベースにした様々な場面でのコミュニュケーションを体験していく中で自然に育っていくものである。

(二)遊びは子供の遊び
 本来遊びとは子供が自分の興味関心に触発されて自発的に取る行動のことである。遊びは子供にとって学びの場である。遊びによって様々な能力を伸ばしていくが、その遊びによって伸ばされる能力に違いがある。友達と喧嘩して仲直りしてという繰り返しからたくましさが育ち、友達と協力して遊びを成功させる中で自己中心性が次第に解除される。日常生活にある様々な品物、そして自然の中にこそ子供の興味関心の的がたくさんあり、そこに遊びを発見する想像力が生きる力になっていく。

賀茂地区研修会・講演会

 言葉の力の基、共感能力、外界への興味関心、自己抑制力、自己有能感(自尊心)と心の安心基地を持つことが、学校における学習能力の基礎であり、社会で生きていく力の基となる。

(三)子育て不能症候群は現代社会の産物
 子育て不能症候群は個々の親、個々の家庭の問題ではなく戦後日本が邁進してきた高度経済成長をはじめとするこの半世紀の急激な社会変化が生み出した社会病理である。その代表的なものが少子化と学歴社会の進行と同時に進んできた核家族志向である。こうしたことにより現代の子供たちには著しい家事・子育て生活体験不足が生じている。そして子どもが群れ遊びを体験できなくなり「子どもの仕事は勉強」
の傾向が強化し、子どもを取り巻く環境の悪化と同時に子育ての体験どころかその様子を見ることもないような家事・生活体験不足のまま「親」となる時代になってしまっている。子育てのスキルもなく手助けも相談相手もいない中で若い母親達は悪戦苦闘している。母性は本能ではなく学習能力であり、子どもたちを救うためには親を救うことが第一であり、子育てのスキルをはじめとする様々な生活文化を伝える必要がある。個々の親を責めるよりもむしろ社会全体の問題として親が育児していくことを支援する体制や次の世代の子育て力を育む体制を整える必要がある。

(四)〜地域社会みんなで〜親を育て子供を育てる
 子どもが人間として生きていく上でどうしても必要なものが社会性の発達である。これは子ども達の知的な発達の礎としても欠くことはできない。

1. 青少年に対する親業教育

 心身共に健全な次世代を教育する力をつけることは受験指導より大切である。人が人を愛し育む体験(中高校生の保育実習)を男女で学ぶ必要がある。こうした体験の重要性を社会全体が認識し理解を示すようにならなくては、効果をあげることがでない。親にならなくても子育ての知識や技術は社会の一員として大切。

賀茂地区講演会

2. 地域の子育て支援
 地域の次代を担う子どの達の育成のために地域全体で親を育て支え子どもを育てる環境を整えることが必要である。保育園、幼稚園をキーステーションに育児相談、一時あずかり、親子で参加する催し物などを意図的に設ける。また、保育以外の家事支援も心強いものになる。みんなで力を出し合い、地域の親助け、親育てをすることで地域の子ども達が安定し心のバランスがとれた人間に成長していく。これがその地域の将来の幸せの基盤となる。

3. 子ども達に豊かな遊びを

・超少子化時代により子どもを意図的に集めないと仲間遊びを体験することができない社会になってしまったが、集団の中での仲間遊びと運動遊びは子どもの能力を育てるには欠くことができない。
・意図的に年齢差のある仲間遊びの場が大切である。高校生が保育園児や幼稚園児と接することもお互いに重要な仲間遊びの場である。これは社会性の発達と自己中心性の解除になる。
・地域の大先輩に遊び教育を支援してもらうことが大切。豊かな自然の中にいながら単独遊びを好み塾通いが多くなる子どもが増え、自然の中での楽しみ方を知らない世代になったら自然を大切に(=環境教育)という思いは消え同時に地域に根付いている生活文化は途絶えてしまう。地域の年配者が豊かな生活体験を通して子どの達の手を取って色々な遊びや手作りの技術と楽しさを伝えることが子どもを豊かな人間に成長させる。

(五)まとめ
 人は誕生の瞬間から「愛」を求め、愛によってこそ健全に育っていく。経済成長と共に社会にも家庭にも変化が生まれ、不透明なことが多くなってきた。こうした現代社会の中で育ってきた思春期の青少年たちが引き起こす様々な問題行動、不登校、学級崩壊などは教育環境を取り巻く問題と根は同じであり、その根の多くは乳幼児期にある。子どもに注ぐ愛の方法はあらゆるところにあり、あらゆる人が子どもに愛を注ぐことが何よりも大切である。
 「良い高校=良い大学=良い会社=いい収入(金持ち)=幸せ」という図式が一般的な社会の中で学校での勉強は入学試験に合格するためにやる以外の何ものでもないのが現状だが、高校生には社会に貢献できる力がある。その力を高校生自身が実感し、自分の持てる力で意義ある活動をし、それにより他の人から自分を認めてもらい社会に役立つことを知って欲しい。社会にも高校生の活躍を認めてもらいたい。子どもを社会の一員として立派に育てるためには家庭・学校教育だけでなく地域社会の援助が欠かせない。そして子どもが幼ければ幼いほど、子どもを包み込んでいる環境が子どもの心の教育により重要である。
・ふれあいが大切。地域の人の励ましや友だちの存在が支えとなる。
・地元のお祭りにも高校生の積極的な参加を。地域に溶け込むいい機会である。等々

 

閉 会 
1. 閉会のことば
       
下田北高校PTA会長 楠山賢佐

 



 
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