平成15年度 PTA指導者地区研修会

■磐田地区
7月4日(金)
於 袋井市月見の里学遊館
参加者 166名

全体共通研修テーマ
「高校生の進路と家庭のかかわり」
○ 全体会
 
一.あいさつ
  袋井商業高等学校PTA会長  山田 敏之
  磐田地区校長会会長      内山 賢二
一.来賓あいさつ 
  公立高等学校PTA  連絡協議会事務局長  兼子  護
一.県PTA指導者研修会報告
  磐田西高等学校PTA会長  横井 計昭
○ 講 演 会
 
新しい世紀の出現と高校生の進路・家庭」(要旨)
講師:静岡産業大学学長 大坪 檀 
 日本は、明治維新、第二次世界大戦の後、だめだだめだと言われながらも大発展をしてきた。さらにこの先どんな国ができるのか、どんなことをやったら良いのか、それには日本の持っている教育力・人材、これを活用していけばもっと素晴らしい国になっていくのではないか。
 今、教育界に求められているものは教育改革だと思う。新しい教育、新しいシステムを持ち込んだら、もっと素晴らしい国になるということを私は確信している。それではなぜ、それを改革しなければならないのかを考えてみたい。
・日本は豊かな生活水準を保ちながら人工抑制に成功したこと。
・平均寿命が80歳、高齢化=長寿化であり、健康で長生きできる環境がある。
・情報化と技術革新がものすごい勢いで進んでいる。
・豊かさ=物が余りだした。
このように素晴らしいことが実現して来ている。
磐田地区研修会 講演会

 しかし、残念ながら日本の社会システム、考え方、教育、すべてが、人口が増える、早く死ぬということが前提にできているため均衡がとれなくなってしまっている。いろんなことが変わりだした。どうしていいのかわからない。
 この様なときに考えなくてはいけないことに「教育」の問題が出てくる。豊かさの中から出てくる価値の多様化は、新しい生き方を求めることができる。価値の創造、それぞれの人の持っている豊かな能力を尊重して発揮させ、社会に貢献できる人材を育む。そのためには、基礎能力が絶対条件であり、高校までの勉強をきっちりやらせる。そして、応用能力、新しいことを提案できる能力。さらに大事なものは、自分で学ぶ能力とやる気。自己実現できるための自助努力。これを育むことが教育の原点であると考える。そしてきちんとした人生観を持った教育、人生目的を達成できる教育に改めることが必要と思う。

○ 第一分科会
 
問題提起
■二俣高校教諭  諸井 孝裕 
一. 大切な時期だから、適切な親の干渉が必要である
 発達段階の子供にとって、身近な親の援助、激励は本人を大きくすることは言うまでもない。  
(一)心身共に健康で、規則正しい生活を送ること。
(二)家庭学習を毎日二時間以上、休日も規則正しく学習する。
(三)だめなことはだめと厳しく叱り、良いことは多少のことでもほめる。
二. 人生について、適切な時期にじっくりと考えさせたい。
 一年時は希望進路の違いを問わず、好ましい就職観を育てるために、学校行事、総合学習の時間を使い、産業のこと、企業で働く意義を勉強し、基礎学力を定着させる。
 二年時は進路希望を決定させる。ジュニアインターンシップの制度を活用し自己実現につなげる。
 教科選択、コース選択、進路決定など、家庭のかかわりが一番大切ですから一年の時から進路を親子で一緒に考えることが大切である。
■磐田農業高校PTA会長 松浦  功 
一. 進路状況
磐田地区研修会 分科会

 卒業生の六割が就職、四割が進学であり、その進路先は農業高校であるにもかかわらず多様化している。

二. 保護者が子供の職業観・進路意識にどのように関わるか。
 子供達は親や教師、身近な人の中から仕事や労働を観察することによって、職業観や人生観を得ようとしている。
 従って親は、進路選択の時だけ子供と向かい合うのでなく、毎日の生活の中で、やり甲斐や生き甲斐を感じるような職業観を持たせることが大切であると感じる。
■袋井養護学校PTA会長 浅岡知恵子 
 卒業後、自宅から会社や作業所に出かけ働いたり仲間と話し、夕方に帰宅し家族と過ごすという当たり前の暮らしを願っているが、行き場所がないのが現実である。不況で企業側に障害者を受け入れる余裕がなく、さらには機械化のため単純な作業が減ったことも影響していると思われる。
 中東遠地区就業促進協議会の取り組みとして、学校と磐田・掛川ハローワークの共催で平成11年度から行っている。企業28社の方に高等部の授業に参加してもらい、生徒と共に触れ合う場を設けている。また、企業相談会では卒業生を雇用している企業の協力を得て就業現場の見学実施している。「いわた産業祭り」「袋商祭」等で市民の方々に生徒の作業作品を見て頂く機会を設けている。
 PTAの取り組みとして、進路部では、進路講演会、進路先見学、施設体験、施設見学、などを実施しました。
■磐田南高校PTA副会長 安間 龍彦 
 どの高校でも学校の進路指導が大きな役割を果たし、保護者も大いに頼りにしている。家庭はどのように進路選択にかかわり、また役割を果たしたらよいか考えたい。
 生徒の自己理解の手助けとして、生徒の持つ能力、適性を保護者も一緒に考え、アドバイスすることが必要であり、それには日頃からよく話し合うことが肝要と考える。さらには、学校と保護者がより密接に協力し合い、本当にその生徒に有益となる充実した進路選択が実現できるよう尽くすことが大切であると考える。
 
発言〉(意見発表)
・家庭との話し合いも大変必要なことであり、三者面談の機会をもっと多く持っても良いのではないか。
・保護者と話しをすると、子供と話しをしていない家庭が多いのには驚く。もっと家庭での会話を多くして欲しい。そうすれば進路指導もスムースにできると思う。
・専門の職業高校を卒業したのにもかかわらず、関連している職業に就いた者が三人しかいないということについてどんなふうにお考えなのか知りたい。
・卒業後すぐに自営業で家に入ることは、今の若い人はしてくれず、一度は社会へ出て働き、その後家業を継ぐというパターンになっている。
 
まとめ
■二俣高校校長  濱田 勝 
 ある新聞の記事に「仕事をすることは生涯掛けて自分の可能性を探していくこと、仕事は自分で探すもので、親はサポートしない方が良い」と書いてありましたが、現況ではモラトリアムやパラサイトからフリターになる者が大変多い状態である。また、学校・親子が努力しても進路につながらない現実もある。ですから、我々は生徒達を突っぱねるのではなく、学校と家庭が協力して支援態勢を組まないといけないと考える。
 六月に政府が発表した「若年自立挑戦プラン」の中で、学校でやることは適切な勤労観と職業観の醸成だといいます。
 進路は学校任せという傾向はないでしょうか。社会が複雑化し、家庭が大家族の頃持っていた総合的な機能が少なくなり、産業構造が変わり子供が親の働く姿、背中を見て職業観や人生観を身につけることが困難になってきました。そうすると、当然、専門的な情報を蓄積している学校に進路指導を依存することとなる。
 しかし、進路指導は学校が中心になりつつある中、もう一度家庭の役割が重んじられるべきではないかと思う。
今日の各校の発表の中にそのようなことがいくつも出ています。親の生きる姿を見せにくい時代ですが、言葉や自分の体験を子供達に語り、大人が子供に模範の姿を見せることが大切と思われます。

○ 第二分科会
 
問題提起
■磐田北高校 教諭 土屋 智宏
 進路と家庭の関わりという状況の中で、高校がこれからやらなければならないことは非常に大きいと思う。
進路に関する三年間を見据えた体系的な取り組みを行うことにより、生徒自身が、考え、選択し、自らの進路意識を確固として持ち、意欲的に学習に取り組むような指導が必要であり、それを実践している。
 家庭においての進路指導は、生徒が困難な時代の中で希望を持ち、生き生きと働くことが何よりもこの人生において大切であることを家庭がその生活の中で伝えていく場として機能することが重要である。生徒一人ひとりが希望を持ち、社会の一員として働くことができるように、未来への志を持って生活することができるように、学校と家庭が協力し、生徒の進路に関わりを持つことが必要不可欠なことである。
■袋井商業高校 教諭 山田  晃 
 本校は商業高校で、高校卒業後は就職希望の生徒が多く入学してくる。就職と進学は、六対四の割合。本校の進路指導は、挨拶、服装、髪型など高校生として基本的なことを厳しく指導している。その結果、企業から、挨拶のできる学校という評価を頂いている。今後も、生徒の基本的な生活習慣についての指導は継続していきたい。
磐田地区研修会 分科会

 今年の12月に全校生徒が参加して行う販売実習「袋商ショップ」が実施される。現在、生徒を中心に準備が進められているが、今後、協力事業所に出かけていって、販売実習が始まる。これも進路指導の一環として捉えている。
 就職する生徒が職業を選択するとき、親や身内の人の職業を選ぶことが多い。子供は親の生き方や仕事に対する姿勢を日頃見ていて自分の中に取り入れ、自分自身の生き方や職業観を築きあげて行くといえる。親たちが働いている姿を子供に見せることは、子供の心の成長にもつながる。
 親からの一方的な押しつけではなく、子供の考えや生き方を側面から支援するという姿が大切であると考える。
■佐久間高校 教諭 鳥居 太郎
 進路について他人事でなく、私たち親や教師が、自分自身がとった進路に対して自問自答して、生徒と家庭と学校の関わりを論ずることが大前提と考える。
 それらの対策として、教師・保護者・生徒に共通して言えることは、視野が狭く、それを自覚して広げようとしない点にあるので、まずは、当面する現実を理解し、真摯に受け止め、現状打破のために行動すること。そして教師と保護者は、生徒の進路希望の実現を中心に据えて生徒を信じ、最大限の支援をしなければならない。また、社会性を持ち、目先のことを優先する利己主義で功利的な姿勢を持たないことであると思う。
 
発言〉(意見発表)
・袋井商業の生徒をみると、服装や髪型等の指導がしっかりしていると私自身も強く感じるが、学校としてどのような形での指導が行われているのか知りたい。
・商業高校ですので、普通高校よりも、卒業後の進路のことを考えると、挨拶・服装などがしっかりしていることは当然のことであり、そのために入学の時からしっかりした指導をしています。特に「いつでも、どこでも、誰でも」をモットーに全職員が共通意識を持って取り組んでいる。
・農業高校ですので目的意識を持った生徒が多いですが、実際農業は厳しい状況です。親として子供が農業をやりたいというのはとても嬉しいが、現況を考えると素直に勧めれない。どうしたらよいか。
・林業においても農業と同じような状態。私自身仕事に対する誇りが持てない。このような状況で子供とどう接すればよいのか。
・非常に難しい問題ですが、苦しい現状でも子供がやりたいという気持ちがあれば、やらせてあげるべき、一生懸命取り組んでいる姿勢を見せることが重要ではないか。
 
まとめ
■磐田北高校校長 太田 恒義 
 各学校により地域性や学校の歴史・伝統により、進路指導・教育活動は様々。いずれの場合も、教師は生徒の進路実現のために、自己実現のために努力をさせて頂いているが、家庭と学校が、より連携をし、生徒の自己実現に向けて取り組んでいる。
 今日、このような機会に、教師と意見を交わせたり、同じ悩みを持った親同士で話しをすることはとても素晴らしいこと。それが、子供の進路決定にとって、とても良いことになるはず。是非自分のお子さんに対する気持ちを学校側に伝えて頂き、話し合いができれば、より個々に対応したきめ細かな進路指導が可能になると思う。

○ 第三分科会
 
問題提起
■袋井高校教諭  小杉 幸一
 本当に子供に勉強をさせる、心身共に鍛えるという姿勢が親にも無くなりつつあるように感じる。
 「進路」とは、つきつめれば、「生き方・在り方」をどうするかということに結びついてくる。PTAとして高校生に対して何ができ、何をしなければならないのか。
 日本の親は諸外国に比べ特殊性があるように思われます。日本の母親はアメリカの母親に比べ子供に対し甘さがあるという統計結果が出ていますが、これは学校教育にもいえると思う。このことが現代の若者の問題点の一つをつくっているのではないかと思う。
 親、教員はもっと子供に関わっていった方が良いのではないか、また子供もそれを望んでいると思う。
■天竜林業高校PTA副会長 小笠原一成 
 昨今の社会状況は高校生の進路状況を家庭で判断しかねる状況になっている。
その対策の一つとして、我が家では、子供との会話の時間を取るようにし、会話の中で本人の意志や考えを話し合うことにしている。
その実践を通じて「子供の考えに、否定から入らず聞く耳を持って話し合う」「親の考えから入らず、子供の考えから話しを発展させる」ことの大切さを感じている。
 仕事や進路について子供の興味から一歩入り込んだ会話が「進路と家庭の関わり」ではないでしょうか。
磐田地区研修会 分科会
 
発言〉(意見発表)
・良い大学、良い会社に入り、力を発揮することもいいが、就職してからが勉強ではないか。希望通りの就職ができるのは、ほんの一握りである。入った会社に自分を合わせ勉強することが大切なのではないか。
・週五日制に慣れている子供達が、過酷な労働条件に対応していけるのか心配である。
・就職してからでは遅いかもしれないが、就職してみなければ分からないことも多い。七転び八起きでやっていくしかないのでは。
・最近の若者を雇う・使う立場の方として、高校生はどう見えるかお尋ねしたい。
・最近の若者は、大人との話し方が下手ではないかと感じる。また、仕事で分からないことがあっても、効率よく尋ねる言葉が出てこないようで、電話等でも適切に対応ができないことが多い。
・子供自身のプライドがあるのは良いが、人間の価値は他人が決めるもの。立派な大学を出ても電話の応対すらできないのは、訓練されていないからであり、親の責任もあるのではないか。
 
まとめ
■袋井高校校長 大久保 勇 
 本日のテーマは「進路と家庭のかかわり」ということですが、進路だけにかかわらず常日頃、子供とどのように関わっていくかということが根本の問題としてあるのではないか。
 その際、本気で大人が子供に関わっているのかが一番の問題のように思える。
 この機会に子供と話し合うことが大切です。それにより家庭の教育力を少しでも高める、それが進路を考えることにも繋がるのではないかと思う。まず親の姿、気持ちを子供に伝えることから始めて見たらどうか。
   

 



 
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